私の過去を知る人間は苦手だ
・うどん屋でバイトはじめてどれくらいになりますかね。
労働内容は割とシンプルで、かつ時間も短い。
なので、非常に楽です。
店主も根っからの職人で表裏もなさそうです。
ただ、時給がね。 大したことない!
まあ、仕方ないか……
で、平日昼間の数時間働いておりますが、
ときどき同年齢の男性(仮にFさん)がやってきます。
注文は決まっていて、きつねうどんとおにぎり2個
そのFさんが、ときどき私の顔をじっと見ているのです。
目が合いそうになると、さっと視線をはずす。
・ついにある日、Fさんが話しかけてきました。
失礼ですが、あなた以前に○○会社に勤めていませんでしたかとね。
確かにそこでサラリーマンやっていましたと答えると、
やはり!
私は御社と取引があった××会社の元社員だと……
つまり話を要約すると、
取引の関係上○○会社に良く出入りをしていて、私の顔をときどき見かけたらしいのです。
何度か話もしたことがあるようですがね。
私は記憶がありません。
そして、Fさんが言うには、あの偏屈な上司の方はまだご健在ですかと!
つまり、Wジジイのことです。
良く私がWジジイの叱責で、彼のデスクの前で棒立ちになっていたのを覚えているのだとか……
消し去りたい過去です!
あー嫌な人に会ってしまった。
自分の汚点のような場面を覚えているような人と会いたくはない。
しかも、うどん屋の客じゃあね。
無視することも出来ないしね。