なんにも持たない者の気楽さよ
・バイト先の焼き鳥屋が人手に渡るのではといううわさ話ですが、
情報通のA婆さんの話では店主が親から相続される遺産が莫大すぎて……
相続税を払いきれないのではないかという辺りから発しているようなのです。
妻が聞いた内容ではあたかも人手に渡ることが確定していて、
近日中にも焼き鳥屋を閉めるような物言いだったとかで、
酔っ払いのおっさんの想像の世界だったのでしょうか。
・多分にそうなったら面白いなあなんていう希望も入れて周囲に吹聴していたのかも知れません。
ということは、やっかみ以外の何ものでもないのですがね。
なにも持たない人間の届かない夢といいますか、
悲しささえ感じるわけですがね。
ただ、それは私もそのおっさんと同類なのです。
なんにも持たない者、それは私です!
しかし、現実は悲しいですが気楽でもあるのです。
そのような莫大な相続のことで、近所の人からどうするのだろうかと好奇の目で見られることもありません。
気楽だ!
でも、なんにもないから悲しい……