面倒の種は突然やって来る
・とある平凡な日でした。
朝、いつものように家を出ました。
むろん、マンション管理人の仕事に出かけるためです。
テクテク歩き出したのですが、
前方の電柱に身を潜めている人を発見!
にょきっと顔を出して、「お久しぶりです!」
どこかで見たような、それに声も記憶にある……
そうか、そうだった。
・焼き鳥屋の店主、つまり婆さんの息子でした。
しばらく行方知れずで、どうしたのかと心配していましたがね、
少しばかりやつれていて、痩せてもいるようです。
実は、骨折入院しリハビリ施設に移った婆さんがもう戻ってこないものと思い、
やっと自分の時代が来たと張り切ってやっていた息子さんでしたが……
意に反して、婆さんが復活して戻ってきて、
息子の商売がうまく行ってなくて、やり方も気にくわない。
そこで、連日こっぴどく叱らったものだから、夫婦共々姿をくらましてしまったという顛末でした。
店は閉め、これから先どうしようか店は一応貸店舗にはしているが……
まだ、正式には決定していない模様です。
私はその焼き鳥屋でバイトしていましたが、そんな状況なので即刻クビになりましてね。
そんな息子がなぜ目の前にいるんだ?
私は仕事のため、歩きながら話を聞くことにしたのですがね。