妻の友人の行方
・元カルチャー講師A氏から電話があり、折り入って話があるので会いたいと……。
A氏の教え子の女史Dの件でした。
女史Dは妻の友人でありA氏の教え子でもあります。
そして、元カルチャースクールの生徒でもあり、妻を含めたA氏取り巻きの一人です。
ずっと独身で還暦まで一人で暮らしてきましたが、ホストクラブに出入りするようになり、おかしくなってしまいました。
つまり、お目当てのホストができ貢いでしまったのです。
・その結果、借金の山で、ついにはホストと行方をくらましてしまったのです。
A氏にとって教え子ですから、教育者の立場からもこうなってしまったのは自分にも責任があるかもしれまいと、悩んでいたようですが……
兎にも角にも、行方を突き止めなければと探偵社に依頼したのだそうです。
そして、最近調査結果が得られたようです。
そのことに関して、私と話し合いたいと……
えっ? 私?
関係ないんだけど……
私教え子じゃないんだけど、話し合う相手は妻を含めた長年の取り巻き諸氏でしょう?
その点を間髪入れずに指摘しましたが、
A氏はいきなりそれでは、ああだこうだと蜂の巣を突いた騒ぎになり、
結局結論のない井戸端の会話のようになってしまうからと……、
方向性の出せない会合なんてやっても意味がないというのですね。
でも、それは分かるけど、だからといってなんで私なんだといいたいのだけど、耳を貸さない!
話をその先に進めてしまい、女史Dの居場所とホストとの関係、暮らし向きなど勝手に話し始めてしまってね。
勘弁してよと思いながらも、内容が面白いのでついつい話を全部聞いてしまったのです。