元浮気相手から仕事の誘い

・いつもの食堂で婆さんと昼飯を食べていたのです。

すると、元浮気相手が私の席にやって来ましてね。

もっとも浮気相手と言っても十数年前のことで、向こうは数ある男の取るに足りない一人でしょう。

それに、既に老いて容姿や体型など殆どかつての痕跡をとどめてはおりません。

気付いたのは私だけですがね。

で、いきなり

あんた、バイト探しているらしいね。

仕事なら紹介してやろうか?

いくら欲しいんだい?

そう矢継ぎ早に話してきたのです。

不意を突かれ、いきなり押し込まれてしまい、しどろもどろに……

婆さんが横から助け船を出してくれ、

またその時はよろしくって感じにはなったんですがね。

ヒヤヒヤものです。

・どうもね、うかうかすると闇に引き込まれるパターンのようでしてね。

女は単に仲介者で、後は知ったことじゃないはず。

怖い兄ちゃんが私の腕をつかんで話さないんだよね、きっと!

第一、年寄りにいくら欲しいんだって聞かないよね。

闇バイトっていうヤツだ!

そう確信しました。

話聞くだけでもって感じで軽く応じてしまうと引き返せなくなるから、

入り口のところで頑張るしかない!

あの女の素性がわかっているので頑張れたのもあるんですが、

婆さんもなんとなくうさんくさいものを感じていたようです。

助けてくれました。

名残惜しいけど、もう潮時のようです。

この食堂に来ることはもうないでしょう。

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