再び燃え上がる過去の傷

フードコートで見かけた子連れ主婦は、昔の火遊びの娘に間違いないでしょうね。

しかし、それは十数年前の出来事なので相手も私に気付かなかったようです。

或いは、既に私のことなんか忘れてしまったのかもしれません。

向こう側から見れば、数多の遊び相手の中の取るに足りない一人なのかもしれませんしね。

いや、多分そうなのでしょう。

なぜなら、大した金づるでもなかったからです。

しかしねえ、金がなかったが故に深入りもできなかった。

その結果、無事に済んだとも言えます。

相手はその道のプロですから、どれだけ搾り取れるかぐらい数回寝れば分かるに違いありません。

世の中何が幸いするのか……

しかし、十数年の時の経過は互いにずいぶん外見を変えてしまったようです。

たまたまその娘が特徴的な声だったことから、私が気付いたに過ぎないのです。

ところで、彼女があのモールにいたということは、生活圏が近辺にあるのかもしれません。

一体今どのような生活をしているのだろうか?

少々興味を持ってしまいました。

いや、それ以前に当時の彼女の本当の姿自体知らないのです。

もう一度あのフードコートに行ってみようか……

やめておけという心の子が聞こえてきましたが、

翌日一人で行ってみました。

同じ席に座りしばらく粘りましたが、あの子連れ主婦は現れませんでした。

内心ほっとはしましたが……

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