心の闇から突然湧き出る記憶
・昨日の続きになるのですが……
心の中とは実に複雑なものでしてね。
危ない橋を渡ったときの記憶は決して忘れません。
その火遊びの娘は頭の中に残り続け、折に触れ鮮明に蘇ってきます。
そして、その娘を思い浮かべながら夜な夜な一人で欲望の処理をするのです。
その次には決まってあのバーから一目散に雨降る夜道を逃げていく自分がいて、
その姿を遠くから見ている自分もいるという不思議なシチュエーションがあります。
もうあんなことを繰り返すまいとの自責の念も沸々と……
あれから十数年の年月が!
妻は知りません。
・そして……、先日二人で少し離れた場所にあるショッピングモールに出かけまして、
フードコートでラーメンを食べていたのです。 😕
すると、斜め前方のさほど遠くない場所のテーブルに二人の子供連れの主婦がおりました。
歳はたぶん40歳前後か……
ずいぶん生活に疲れケバい化粧の人でしたが……
そして、騒いでいる子供たちにあれこれ荒っぽい言葉で注意していたのです。
断続的に聞こえて来る声がどこかで聞いたことのある声でしてね、
その特徴的な声が、あの娘の声に酷似していることに気付くのにさほど時間はかかりませんでした。
その瞬間私は凍り付き、たぶん抜け殻のような表情になっているだろうと自分でも分かるような気がしました。
そして、しばしの時間神経を集中……間違いないという確信!
妻は私の異変には気付かず、ラーメンを啜っておりましたが、
せめてもの救いです。
しばらくして、その親子連れは去って行きました。
途端に全身の筋肉が弛緩して……現実の世界に戻ったのです。