さらば婆さん
・婆さんとは言うまでもなくA婆のことです。
グループホームに入所中骨折し入院していましたが、
遠くの縁者が引き取り近くの介護施設に入れたいとのことでね。
婆さんはこのところ一段と認知機能が衰えまして、私のこともほとんど記憶が無くなっておりました。
以前私がマンションの管理人をしていた時、そこの住人でね。
・暇そうにしていたので、昼飯に誘って近くの大衆食堂に二人で行ったのがきっかけ。
そのうちに毎日やって来ては、あれこれ話をしながら一時を過ごしましたが、
今となっては良い思い出となりました。
でも、痴呆が進みグループホームでは一人しょぼんとして、部屋の片隅に座っている姿が悲しげでした。
こういう形で親族が引き取ってくれるというので私もほっとしています。
もう私のことなどどこの誰だかわからないとは思いましたが、
スタッフから連絡があり、出発の当日顔だけ見に行ってきました。
まだ、骨折リハビリの途中で、完治したわけではありませんが、
なんとか少しずつ歩けるようにはなっているようです。
私は少し離れた場所から目立たないようにその姿を追っていました。
身の回りからまた一人去って行くというのは寂しい限りです。
でもしょうがありませんよね。
人間いつまでも無事で過ごせるわけではありません。
婆さんのこれからの残りの人生が彼女にとって満足のいくものであればななあと、
祈ることにしました。

