修羅場と化す老人社会
・長谷さんから菊田老人の話を聞こうと思い、出向きました。
しかし、長谷宅の様子がおかしいのです。
玄関扉が壊れているようだし、窓ガラスも割れている箇所が散見されましてね。
玄関のチャイムを押しても鳴らない。
もっともこれは以前からそうなのかもしれませんが……。
呼んでも返答なし。
人に来てくれといいながら、呼んでも出てこない。
このまま帰るわけにも行かないのでスマホで電話すると、
中に入ってきてくれと……なんだ居るんじゃないか。
少し安心。
・長谷さんはリビングのソファに座っておりました。
半ば投げやりな態度で、事の顛末を語り出したのです。
掻い摘まみますと、菊田老人がやってきて2日ほど後奥様と息子が訪ねてきたそうです。
老人に帰ろうと促しても、彼は頑として受け付けない。
徐々にテンションが上がり、奥様たちは力づくで老人を外に引っ張り出そうとすると、
大声の罵り合いから、老人が見境もなくものを投げはじめたそうな。
・長谷さんがそれは俺のだから止めてくれといってももう止まらない。
窓ガラスは割れ、老人は玄関扉にしがみつき大声を出す……。
近所の方々は何事かと……
誰かが警察に連絡したようでね。
パトカーがやってきて……、状況がわからないものだからずいぶん時間がかかったようだけど、
最終的に事件性はないと判断し帰って行ったとかで……。
菊田さん側は家族だからいいんだけど、
警察からはここは長谷宅だし何か悪い魂胆があるのではと長谷氏が疑われる場面もあったようでね。
ひどい迷惑を被ったようでした。
・で、彼がなぜ私をここに呼んだのか? ですがね。
はっきり言ってわかりません。
別に私がここに来てもやるべき事も無いのです。
先ほど事の顛末を電話で話してくれればいいだけなんだけど……
しばらく雑談したのですが、それ以上のものが出てくる気配もない?

