見て見ぬふりの奥深さ
・年金受給者の私にとって、喫茶店でのバイトはこの上ない貴重な収入源です。
有り難く勤めはじめて早3ヶ月余り……
マスター的、Bママの手下的な立ち位置で毎日仕事に励んでいるわけです。
そして、スタッフは入れ替わり立ち替わりいろんな仕事をしているわけでしてね。
ランチ用の食材調達や下味を付けたりとパートの年配女性が数名働いております。
ランチ自体は、メインが月曜日はとんかつ、火曜日はチキンカツ、……とその繰り返しですから、
料理も手慣れたものです。
毎日見慣れた光景を尻目に、接客やコーヒーの準備など行っている私です。
ところで、最近気づいたのですが、ときどき食材が足りないときがあるわけでして。
・それが平日のある高齢おばさんのシフトの時に限り足りません。
そこで気をつけていると、なんといいますか……、ササッとね、タッパーにね、
見ちゃったんですよね、パートの婆さんがね……
さらに気をつけていると、別の日にもその方がね。
他の日には数は合うんですがね。
Bママにそれとなく……、するとママも分かっていました。
でも、それには触れず、婆さんの家庭は年金のみで生活が苦しいんだと遠くを見ていうんですよね。
つまり、ママはそれを分かった上で、あえて見て見ぬふりをしていたわけです。
であれば、私がそれ以上深入りする理由がなくなります。
どうもその婆さんのご主人は寝たきりでギリギリの暮らしをしているみたいでした。
ちょっとした社会の底辺に近いところの現状を垣間見ましたがね。
それに比べると、私はまだそこまでは少し距離はあるのかなと……。


そうなんですね。ママさんは良いところがありますねぇ。
私も会社にいる頃、二人の部下が事務のおばさんにお金をくすねられると
言ってきた事がありました。
彼らはいつもおばさんに頼んで本社のATMから生活費を下ろして貰っていたのですが、
その中から少しずつ抜かれていたとか。
私は処分を考えていましたが、二人が許してやって欲しいというので注意だけにしました。
ちょっとその時の事を思い出してしまいました。
日本人は性善説の人が多く、甘いとよく言われます。
そうかもしれませんが、心の底に温かさがあるのはうれしい限りです。