老いは急にやってくるらしい
・バイトの口が決まり働き始めましたので、なんとなく生活に緊迫感は失せたようです。
夕方帰宅途中、とはいってもすでに辺りは暗くなっていましたが、
家の近くで長谷シニアにばったり会いました。
少し立ち話をしたのですが、そのときバイトを見つけ喫茶店で働き始めたことも伝えておきました。
彼は、いいなとうらやましそうではありましたが、
ところでと……彼は急に暗い顔になりましてね。
菊田老人のことでした。
近所のドブ掃除で知り合った頃は、元会社役員だったと盛んに吹聴し、やたらマウント取りに来ましてねえ。
・飲み会やちょっとした集まりでも中心に座りたがる人でもありました。
でも、徐々に実態が明らかになり、その会社役員というのは代々奥さん系統が経営する家内工業的な小規模企業の役員でしてね、
家族みんな役員というよくあるパターンで、今は奥さんが社長!
要は頭が上がらない……ということがばれちゃいましてね。
その辺から脳みそ崩壊で、会うたびに少しずつ奇怪な行動に……
つまり、痴呆が進んでいったよう周囲は見ていたのです。
最近はあまり見かけなくなってしまったのですが、
長谷シニアの話によれば、体調が思わしくなくずっと入院しているということでね。
どうも痴呆でもなさそうで、難病らしいのですがね、とにかく急激に病状が悪化しているとのことでね。
近いうちに見舞いに行きましょうか、ということで分かれました。
つい最近骨折入院した友人を病院に見舞ったところなんですがね。
老いは着実に迫ってきているようです。

