シニア老人のある一日
・平凡な日々が続いておりますが、毎日同じことをして過ごしている訳ではありません。
しかしながら、本日も特にこれをしなければとかそんな差し迫った用件もありません。
モールで目撃した妻らしき婆さんと幼子は本当に妻だったのかどうか……
定かではありませんが、別に妻が何をしようが妻の勝手でもあります。
それに妻に隠し子がいないのは百も承知ですから、
おそらくは妻似の別人なのでしょう。
・孫を連れてモールに涼みに来ていたのを、遠くから私が目撃したというのが一番考えやすい情景です。
それはそれとして、今日も日が昇りました。
このまま、我が家にぽつねんと一人でいるのでは余りにも寂しすぎます。
何か目的がありそれに没頭し、その結果一人でいるのであれば何の問題もありません。
しかし、目的もなくここにいては、その刺激のなさに脳みそが溶けてしまいそうです。
相変わらず毎日暑い日が続いていますが、ここは多少無理をしてでも外に出るべきではないか!
そう決心し、久しぶりに近所の商店街を歩いてみることにしました。
パン屋の仕事以前はこの商店街でいろんなバイトをしながら生きながらえてきました。
そう考えますとなんとなく親和性が湧いてきまして、自分のテリトリーのような気分を味わってみたいと……。
幸いアーケードがありますから、直射日光を回避できましてね。
店によっては店頭を歩いている間冷気が流れてきまして極楽です。
駅前に差し掛かりました。
以前焼き鳥屋でバイトしていましたが、競合店が駅の近くに店を構えていましたので、
ときどき様子を見に来たりしておりましたが、
久しぶりに通ってみると跡形もなくなっています。
・代わって回転寿司ができていました。
いつの間にか新しい寿司屋が数軒この近辺にできていましてね。
業種の移り変わりも時代の要請なのでしょうかね。
そういう目でいろいろ観察していましたが、業種が代われば人も変わります。
以前よく見かけた店員とかこの近辺を歩いているとよく声をかけてくれたのですが、
今では新しい店をのぞき込んでも、見知らぬ店員が怪訝そうにこちらを見るばかりです。
なんとなく過ぎ去った過去を振り返る機会もなく、とぼとぼ商店街を端から端まで歩きましてね。
少しの間に自分の居場所すらなくなってしまったと……
ちょっと寂しい思いをしながら、結局また家に舞い戻ってしまったというそんな一日でした。

