迫り来るシニアの落日
・これで最後と思いパン屋の仕事に精を出していましたが、急転直下暗雲垂れ込めております。
界隈の開発がらみで、このパン屋も売却しようという元店主夫妻の意向です。
所有者がそう思えば、是非もない。
雇われの身としては、受け入れるしかないのですがね。
半分狐につままれた様な気分でもありますし、
世の中一寸先は闇を地でいくような状況に、驚きびっくりの状態でもあります。
・ここは受け身に徹し、言われるまで放っておこうとは思いましたが……
そんなに状況は緩いものではないような気もしております。
昨日、少し離れたところの雑貨商の方がうちに見えましてね。
実は土地を売ってくれと言われているんだけど……そんな感じで立ち話をしました。
うちは雇われの身だけど、大家が土地を手放そうとしているという情報は入れましたがね。
雑貨商はやはりと合点がいったようで去って行きました。
ときどきパン屋の前で複数のスーツ姿が町並みを見ながらいろいろ相談しているようでね。
そういわれれば、そんな風景は以前からあったことに気づき、
ずいぶん前から水面下で話が進んでいたのかもしれません。
そして、ある程度固まったので、表面に浮き出てきたということではないでしょうか。
・我々は借りている身ですから最後までわからなかっただけとも言えます。
ということは、おそらくこれからスピードが速まるのではないだろうか……
そう考えますとね、精神的に浮き足立ってしまってね。
我々にできることなんて無いんですよね。
大家から契約打ち切りになるとその時点で終わり。
何十年も商売しているのであればまだしも、昨日今日はじめたような人間に権利なんてありません。
余計やる気が無くなってきましてね。
妻と首になる前にこちらからやめてやろうかなんて話し合ってる今日この頃ですがね。


再開発の足音が聞こえてくるようですね。
我が家の周辺一帯が更地になったのは16年前くらいですが、子供の頃からの思い出が全て
消えて無くなるというのは本当に寂しかったです。
なんか自分の知らないところで粛々とことが進んでいるようでしてね。
まあ、一握りの人たちが世の中を動かしているということでしょうか。