老いて帰る家もなし
・妻と二人パン屋からの帰宅途中、ご近所シニアの菊田さんが私のマンションの前をうろうろ。
これはまずいと思い、家には帰らずに妻と大衆酒場へ。
仕事の労をねぎらい合い、今後のパン屋の運営についてあれこれ考えを巡らせたのです。
ひとしきり安い焼酎ですが、飲みまくり安いつまみもしこたま食べ、大満足!
大衆シニアはこれしか憂さを晴らす方法がないものかと……、
でもこれこそストレス発散にはなるんじゃないかと……。
そろそろ帰って寝るかと千鳥足ながら支え合い、マンションの前まで来ると、
あれ? 人影がある。
・なんとなく、菊田老人のような……
更に距離を詰めると、「こんばんは」というその声は!
やはり菊田老人でした。
なんかいやな予感もしたのですが、そんなそぶりは微塵も見せずに軽い挨拶で終わらそうと通り過ぎようとするとですねえ、
「ちょっとお話が……」
かなり酔っ払っているので、明日にしてもらえればと言ったのですが、
聞こえなかったふりをして、どんどんしゃべり出しましてね。
それをいちいちここに書いていたのではキリがないので要点だけを述べますと、
奥さんと言い合いになって追い出されたのだけど、今夜いくところがない!
泊めてくれないか、という内容でした。
聞かなきゃ良かった。
無視して話し出す前にマンションに逃げ込むべきでした!
でも、もう遅い。
妻が私の腕につねって断りサインを入れてきましてね。
私もそうしたいのだけど、向こうは意志が固い!
私の家に上がり込むイメージトレーニングはすでにできあがっているようだ。
でも、こればかりは……
だって、家の中は結構散らかっているし、とてもじゃないけどお客を上げる状況にはない。
どうする?

