また一人去って行った

・元同僚のS山さんが久しぶりにこの町に帰ってきたようです。

商店街で久しぶりにばったり出くわし、喫茶店に入り近況を話し合いました。

S山さんといえば、以前は今は亡きH田さんと3人でよく酒を酌み交わした仲であります。

ところが、彼の家庭は一人息子が引きこもりになりずっと家の中は暗く、やっと働きに出たものの、その店のスタッフとできてしまい同棲!

奥さんは勤務先のコンビニ店長と不倫!

これも発覚し大騒ぎ、向こうの奥さんも入り乱れ……

さすがにS山さんも悩み抜いたのでしょうね。

家族は解散、財産は三等分し発展的解消しました。

本人もしばらくは同棲したりしておりましたが、少々もてるところもあだになり、

その方と旅に出ると言い放ち、行方をくらましていたのです。

・ところがひょっこり戻ってきた?

話を聞いてみると、どこかの町でその女性と二人で暮らしているのだとかで、

役所に用があったので仕方なく戻ってきたようです。

元家族の面々の動向はもう知らんと……

一応住所は知ってるが、連絡もないのでなんとか生きているんだろうなと、

まあそういう解釈も成り立つわいと思ったのですがね。

1時間程度話しましたが、もう帰るよということでね。

元パワハラ上司Wジジイが亡くなったことも知りませんでした。

もうこの町には何の未練もないから、戻ってくることもないようです。

電話番号も教えてくれず、ひょっとしたらこれが永遠の別れかもしれないとなんとなく思いましたね。

少々さみしさが残りましたが、

君のことは一生忘れないからと言い残し去って行きました。

しかし、あのやつれようとくたびれた服装、気にはなるけど……

聞いたからってどうにもならないし、触れられたくない気もする。

別れは意外とあっさりとしたもんだと感じましてね。

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