変わり身の早さに驚く

・数日前までは「ハッピー・ハロウィン」と叫びながら、仮装した子供たちが商店街を歩いていました。

しかし、月が変わるとそんなものなかったかのように、早くもあちらことらの店ではクリスマス的小道具が置かれていましてね。

いずれも日本古来からの伝統的風習ではありません。

その変わり身の早さに驚嘆する私です。

ハロウィンなんて私の子供の頃はなかったのですがね。

いつの間にかこれは商売になるなと思えば、社会の隅々まで浸透させている商魂のすごさよ。

この精神がある限り日本は大丈夫なんでしょうねえ。

這ってでも生きていく、金儲けのタネを見分けるすごさといいますか……

・案外その仕掛け人は商店街などの地域社会のおじさん店主だったりしてね。

たくましいのです。

私もその根性が少しでもあれば、今頃は巨万の富を得て左うちわで過ごしていたのかもしれませんが、

天は二物を与えず!

いや、一物さえありませんが……

その結果、しがない年金生活者で地を這う生活を強いられているわけです。

でも、そういった大衆シニアにも魂はあります。

北風に乗ってかすかに聞こえてくる時期尚早のジングルベルの方向に歩いていますと、

「やあ!」と……

「だれ?」

振り向くと、懐かしい顔がそこに立っていました。

S山さんです。

元同僚のS山さんが……しばらく行方不明状態だったあのS山さんがね、そこにいるのです。

しばらく見ないうちに老け込んだ印象を持ちましたがね。

服装もほぼ着た切り雀のような出で立ちにしか見えません。

まあとにかく懐かしさの余り、近くの喫茶店に入り話を聞くことにしました。

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