婆さんの骨折入院
・A婆さんのことですが、骨折し入院しているようなんです。
グループホームのスタッフから連絡があり、先日転倒し大腿骨を骨折してしまったそうです。
放っておけないので見舞いに行ってきました。
本人は案外元気そうなのですが、いよいよ痴呆が進みあまり私との関係も詳しくわかっていないようでした。
私の名前も出てこないのですが、その様子にちょっと複雑な感情が沸いてきましてね。
今までの記憶が無くなっていくというのは、さほど悪いことでもないんじゃないかと……
生まれた時は何も知識がありませんが、生きていく上でいろんな経験や知識が入ってきて、
そして老いるに従いまた忘れていく。
なんとなく自然なことのようにも感じてしまいました。
私自身もいずれA婆のようになるんじゃないか……だとしても、それはそれで元に戻るだけだから……
そんな感覚ですね。
・ちょうどグループホームのスタッフが様子を見に来ていて話ができたのですがね。
もしこのまま寝たきりになってしまうと、A婆はグループホームには戻れないらしいのです。
どこか介護施設を探さなければならないと……どうしたものかとね。
しかし、相談を受けても私とA婆は単なる知り合いなので、私に何も決定権はありません。
遠方に縁者がいるはずなのですが、どうもその方に連絡しても音信不通らしいのです。
要は逃げているのかもというニュアンスですがね。
こういう場合どうすれば良いのでしょうかね。
しかし、これから高齢社会で独り身の老人が大勢出てくるはず。
いや、もうすでに!
こんのような例はいくらでもあるはずです。
ある意味大変な社会になってしまったと!
でも、人ごとではありません。
A婆は近未来の自分かもしれないからです。

