振り返れば遙かな人生の道
・本日は可もなく不可もなく、想定内の一日でした。
こういう日は帰途についてもちょっとした充実感がする一方で安堵感もあり、
しかし……若干の物足りなさもあるものです。
そして、波瀾万丈の生活に憧れてしまったりします。
道行けば折しも4月、いかにも新入社員の出で立ちの若者がグループでわいわい歩いています。
今から歓迎会なのか、それとも仲間で集まって、
これから始まるサラリーマン生活に及ぼす仲間の技量をなんとなく感じたいという本能でしょうか。
・いずれにしても、遙か昔に私も新入社員という時があったなあと!
そして、遙かな人生の道を歩んできて今ここにおります。
過ぎ去ってみると、そのときどきに遭遇したいろんな難題に、そのときどきに決断を迫られ判断してきたのです。
彼らにもこれから同じことが始まるわけですが……。
自身を振り返ってみると、あまりいい判断はしてこなかったようでもありますが、
ただ一応は生き延びてきたのでしょうね、今ここに居るということはね。
結局のところ、とんでもない災難に巻き込まれるとか、びっくりするほどの幸運が舞い込んでくるとか、
そのような宝くじに当たるような確率のものがない限り、
最終的に持って生まれた能力に応じた辺りに落ち着くのでしょうかね。
私はそう思い、半分諦め、あるいは満足するようにしています。
・でも、この感情はシニアになった最近やっと獲得したものです。
それまでは、自分はもっとできるはずだ、だから生まれ変わってもう一度人生をやり直したいとか、
そんなことを考えたりしていましたが……、
サラリーマン社会という戦いの場から離れて時間が経ちますと、
冷静に距離を置き、自分という人間とかつての会社という戦いの場を見ることができるようになりましてね。
やはり……自分はこの程度だったんだと、思えるようになりました。
そして、人生は一度きりなんだと!
もはや後戻りはできません。
そんな当たり前のことを受け入れるまで、ずいぶん時間がかかってしまいました。
今、目の前をスーツに身を包んだ5人の若い男女のグループが楽しそうに通り過ぎていきました。
彼らがこれから長い人生を歩き、私の歳になったときどう考えるのでしょうか。
少々興味がありますが、そのとき私は間違いなく土に帰しているのだと当たり前のことに気づいたのであります。