婆さんとグループホーム

・私はかつてマンションの管理人をしていたことがありました。

そのとき、そこの住人だったA婆さんと親しくなり、昼飯を近所の大衆食堂に食べに出かけたりしていましてね。

そのA婆とはその後も付き合いがありましたが、

最近ついにといいますか、体も弱ってきて、頭の方も多少怪しくなってきましたので、

遠縁の人の計らいでグループホームに入所したのです。

私も一安心でね。

ところが、暇があれば電話かけてくるのです。

というか、向こうは一日中ほぼ暇のようでね。

いつまでも私のことを思い出してくれるのは有難いのですが、

仕事中も関係なく電話かけてきましてね。

もっとも、A婆さんは私が今忙しいかどうかわかりませんから、仕方がないのですがね。

・それで、一度様子を見て来ようと思い、行ってきました。

もっとも、入所後一度様子は見に行っていたのですが……

すると、いつの間にか婆さん連中にも優劣といいますか強弱といいますか、

ある意味社会が形成されていましてね。

短期間の間に頂点に君臨しているのです、彼女が……ね。

これには驚きましたが、こんなんでいいのかなあ。

まあ、スタッフの方も大目に見ているようですからお任せするしかないのですがね。

私が行くと、手下のような婆さんがお茶を持ってきてくれたり、なんか違和感がありましてね。

もっとも、A婆は私が行くとそれはそれは喜びましてね。

でもまあ、みんなと仲良くねとそれとなく話して帰ってきたのですが、

社会生活といいますか集団生活はいろんな人間の性質や本性が見えますねえ。

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