シニアジジイは今日も生きている

・朝がやって来ました。一日のはじまりです。

夜寝ている間に体は硬直し、なかなかスムーズには動きません。

関節をなぜなぜしながら、徐々に可動域を広げていき、なんとか歩けるようにする。

そして、口の動きも大切です。

妻は私より早く起き、すでにパン作りのため出かけてしまっております。

私は、話し相手がおりませんから、直接口から声を出しても虚しい限り。

でも、一応壁に向かってブツクサ言いながら朝の支度を調える。

そして、やおら玄関を開け「行ってきます」と誰もいない家の中に向かい声を張り上げ出かけるのです。

・さて、パン屋では併設のカフェのマスターとして働いております。

でもねえ、未だ素人の域を少し出ただけのマスターですから、

コーヒー豆の知識とか焙煎の仕方とか極めたわけでもありません。

平凡な大衆受けする無難なコーヒーをうたい文句に営業しているわけです。

ですから、対象客もそれに見合った方々です。

コーヒーにのめり込んでいらっしゃる方はいくらでも専門店があるわけで、

その辺とは一線を画しております。

パン屋で好きなパンを買って頂き、併設のカフェで無難なコーヒーを入れて貰い、お腹を満たす。

ちょっと気分転換なひとときを過ごしたい方々。

それは、サラリーマン諸氏の通勤前のひとときかもしれませんし、

爺婆の休息の場なのかもしれません。

人それぞれいろんな目的でやってくるはずです。

そんな全方位的な需要に対する受け皿として、大衆的な非専門的カフェを開いているのです。

・シニアジジイとしてこれが私の平凡な一日でしてね。

何もすることもなく、一日中家の中にいる生活は以前にもありました。

サラリーマンを定年退職し、年金生活に入ったころでしたが……

そのうちに年金だけでは生活が困難になり、バイト探しに精を出しましてね。

何件か仕事場を渡り歩きましたが、その結果今はカフェでマスターをしている次第。

この先どうすべきか、何ができるのか……でも、この歳になると何もありません。

若者のように未来に対し大志を抱ける環境にもなく、

ただただ生き延びることだけに意義を見出すこの生活を、自分でどのように整理すべきなのか……

よく分りませんが、とにかく今日も生きております。

シニアジジイは今日も生きている” に対して2件のコメントがあります。

  1. STICK より:

    ヨレヨレさんこんにちは
    いつも楽しく読ませていただいています。

    「そんな全方位的な需要に対する受け皿として、大衆的な非専門的カフェを開いているのです。」
    むちゃくちゃいいじゃないですか!
    上司がおらず自分の裁量で働ける、素人であろうが来るお客さんはいる、いくらかの収入はある、かっこ良い言い方をすると社会とつながっている・・・・うらやましがる同世代の人がたくさんいると思います。

    1. yoreyore より:

      いつも読んでいただきありがとうございます。
      幾ばくかの売り上げを得るために働く日々でありますが、
      接客はなんとも言えない緊迫感があると感じています。
      サラリーマン時代と著しく違う点でしょうかね。

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