老人同士の内向きの正月
・結局今年の正月もあっという間に過ぎ去って行きそうです。
そして、またいつもと同じように平凡な日々がはじまると思うと、
ある種の気が滅入る感覚を覚えてしまうのは私だけでしょうか……
しかし、まだ今はお正月、そして目の前には一人の老婆と妻
炬燵に入り、寝ております。
があがあといびきをかき、飲み過ぎた証拠の焼酎の空きビンが転がっております。
そうなのです。
・大晦日の夜ひょっこり現れたA婆さん、
私が行くところがなければ、うちに来れば良いよと……
なんという不用意な発言をしてしまったのでしょうねえ。
私の人生いつもこんな感じでその場の流れで軽いひと言を発し、
後で猛烈に後悔してしまう、この繰り返し。
正月も後半なのに、延々五月雨的に宴会は続きいっこうに帰ろうとしない。
もうそろそろなんとかしなければいけないのですが、
A婆は妻と議論が白熱し、ずっと焼酎片手にああでもないこうでもないと……
あーあ、たすけてくれ!
・年の初めがこれだと先が思いやられますわい。
といってもその原因を作ったのは私ともいえるわけでね。
A婆を誘わなければよかったのに、ついつい一人正月なんてと慈悲の心を持ったのが悪かったのです。
これに打ち勝つにはどうすれば良いか、
簡単なことです。
彼女たち以上に飲んだくれて潰れてしまえば良いだけなのです。
しかし、もう少し新年なのだから外向きの景気のいい話はないものかと思ったりしております。