元同僚に女の影

・そういえば元同僚のS山さんどうしているのやら。

しばらく旅に出て行方不明の状態が続いていましたが、

ある日ひょっこり帰ってきまして、近しい人々で飲み会を開きましたが、

それもずいぶん日にちが経っています。

その後、ほぼ音沙汰なしの状態ですし、

かつての会社関係の上司とか同僚に聞いてみましたが、誰も現状どうなっているのか知りません。

逆にあんたが知らないのだから俺が知るわけないだろうと言われる始末。

そんなこともありまして、訪ねてみることにしました。

まだ夕方だったのですが、マンションのドアをノックしますとほどなく半開きになり、

・顔を出したのはS山さんではなく女性でした。

驚いたのなんのって!

しかし、どこかで見たことあるなあ、

よくよく見てみると焼き鳥屋でバイトしていたときの同僚スタッフKちゃんでしてね。

歳は推定40後半

やあ、ここで何しているの? と、聞いてしまいました。

前々から怪しいとは思っていたのですが、

というのもS山さんが酔ってくると決まってKちゃんの話をしだすわけです。

別のスタッフの名前もあげながら、でも次第にKちゃんの比率が高くなっていく。

なんとなくそういうことかなとは思っていたのですが、

その彼女が顔を出している……。

いま外に出ているから……と言って中に入れようとはしないのです。

しかし、明らかにS山さんは中にいるのです。

気配で分りますよね。

ははーん、これは不都合な光景が広がっているなと思い、

じゃあまた来ますからよろしくねと言って帰りましたが、

帰りの道すがら考えるに、今のやり取りからすると連中は一緒に住んでいるという形体ですよね。

我ながらその頭の回転のさびつきように衝撃を受けました。

でもまあ、一人で暮らしているよりは二人の方がこちらとしても安心ですが、

なんとなく少ない友人の一人を持って行かれたようで少し寂しい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です