友人のバイト先を探す余裕などないけれど

・元同僚のS山さんがいよいよ貯金が底をつきかけているという話がありまして、

複雑な家庭事情に加え困窮生活にいち友人としては力になれればと思う反面、

そのプライドの高い性格や私自身の生活環境など、

とても人様のお世話などできる状況にはありません。

それもS山さんはわかっているはず。

にもかかわらず、あえて私に相談せざる終えない状況は私も心を打つ部分もあります。

しかし、私たち夫婦が働いているパン屋でバイトとして自分も働けないかというのは、

はっきり言って無理です!

・理由はいろいろありましてね。

そもそもパン屋の売り上げが思わしくなく、店主も高齢

私たちに後を引き継いでくれという状況ですから、

この上もう一人なんてあり得ません。

それに、私の妻と性格が合いません。

というか、妻が毛嫌いをしているわけでしてね。

S山さんはその辺かなり鈍感ですから、気付いていないのですが……

しかし、友人ですから店主に聞いたけどダメだったということにして断ってしまうのも心が痛むわけです。

・そこで、パン屋以外のバイト先を提案することにしました。

たとえば、先日商店街を歩いていると、以前働いていたうどん屋のあとにまた新規うどん屋ができていましてね。

バイト急募と貼り紙があったことを思い出し、さらにはその斜め向かいの居酒屋でもバイト募集がありました。

一応電話番号確認し電話してみると、年齢は問わないということでしたので、

そこを代替案として教えることにしました。

面接以降は当人の実力ですから、それは如何ともし難い。

あとは、こんな時意外と役に立つのは元パワハラ上司のWジジイでしてね。

老いてもまだ人脈を持っている。

そこで、Wジジイにも相談せよと……

しかし、これは当てにはなりません。

確か以前Wジジイから、S山さんの息子のバイト先お前ところのパン屋で無理かと聞かれたことあったなあ。

まあそれもダメ元で提案!

・冷たいようだけど、パン屋だけは我々の生活かかっているから無理なんだよね。

仮に店主に相談しても、店主が私の頼みだからということになり、

無下に断れなくなる可能性もね。

そうすると、泥船にもう一人!

それに、妻がなぜか毛嫌いしているS山さんですからね。

たぶん妻は、家庭を崩壊させてしまった彼のことをうがってみてしまっているのかも知れません。

結局今一番大事なのは自分たちの食い扶持を死守するしかないのです。

辛いけど……

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