昔の浮気の証拠
・いつもの定食屋でかつての浮気相手に酷似した女を目撃してしまいましたが、
やはり動揺は隠せません。
なぜなら、女とその背後に巣くう連中から私が逃げ出したまま今に至り、まだ心の整理がついていないからです。
心の中ではまだ逃げている途中で、今に至っています。
一応翌日は婆さんに急用ができたからと嘘をついて、定食屋に行くのは断りました。
しかしねえ、以前フードコートで目撃したときは、翌日も出かけて行き女の姿を探したのですが……
今回は逃げの一点でして、自分で自分がよくわかりません!
たぶん今回は、女の方から私を見ていたという点が怯えを生んでいるのかもしれません。
でも、あの食堂で見かけた女が本当に昔の娘なのかどうか、確かめたわけではない。
しかし、店員と話した一瞬のあの声を聞いて特徴ある声で確信を持ちました。
間違いなし!
・そこで、冷静に考えてみました。
なにかあの女に弱みを握られてはいないか?
本名は語りましたが、それだけではね。
向こうもたぶん数ある男の一人に違いないし、いちいち名前なんて覚えていないかもしれないし!
私は女の名前は知っているが本名でないことも知っている。
源氏名以外は聞いていないしね。
だったら、しらばっくれて、たまたま昔入ったどこかのバーのスタッフだったかもしれないという感じで……
それに、あの女から借金していることもない!
ということで、もし相手が接触してきても良く覚えていないってことで突っぱねることにしよう。
そう開き直ると、気が楽になり翌日からまた定食屋に出かけました。