婆さんの居たリハビリ施設とは

かくして婆さんはシャバの空気を吸い息を吹き返したのでした。

一旦本来の日常を取り戻すと、もう二度と戻りたくないというのです。

別にムショ暮らしをしていたわけではないのだから、不思議です。

そのリハビリ施設とは、至れり尽くせりなのだとか!

良いじゃないかと不可解な発言に質問が相次ぐ 😕

入所者は高齢者の集団であり、食事はすべて手取り足取りで、当初はまだ骨折が完全に治癒していなかったので、それこそ下の世話までやってくれたそうな。

でも、入所者にもいろいろ重軽があり、ほぼ寝たきりで動けない状態からなんとか動けるとかほぼ歩けるとかバリエーションがある。

食事もそうだ、自力で食べることができる人からスプーンで口に入れて貰う人まで 😳

そして、そういった重度の患者を見ていると、歳はさほど変わらないから明日は我が身だと思い知らされる。

そして、ここに居る限りいずれは自分もああなってしまうんだという無意識の刷り込みがあり、

それがいつしか怯えにつながってしまった。

そればかりか、知らないうちに一人減り二人減りして……

不審に思いそれとなくスタッフに聞いてみると、お亡くなりになりましたということなのだそうです。

その時点で、これはダメだと!

ここに居てはいけないと!

私にはまだやりたいことがある。

そうだ! 酒が飲みたい! 😯

そう思った瞬間、居ても立ってもいられなくて……

でも、今のままじゃあ出られないし、ここは意地でも治さなければなりますまい。

ということで、翌日から目の色変えてリハビリに励み、今日に至ったそうです。

でも、それって動機付けにしちゃあ余りにも軽すぎないかなあ……

さらに質問

それだけ?

どうやら、当初はここでももう良いかなんて思っていたらしいんだけど、

ある日見舞客が飲んだ帰りに寄ってくれて、モニター越しだったけど凄く気持ちよさそうで……幸せそうで……

その瞬間、これだって!

誰だよそれはと別の人間が、余計な奴だ的な雰囲気を言外に含みながら質問すると、

あんただよって、私の顔を指さした……

息子がなんて余計なことをやってくれたんだって感じで、寂しそうに焼き鳥焼いている。

私も寂しいんすよ……

でもねえ、一人の人間を蘇らせたとも言えるし、心境複雑!

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